校内研究の概要¶
那覇市立天久小学校 2026年度
研究主題¶
「学び方を選択し、自己調整する子の育成」
~算数科におけるマイプラン型学習の工夫を通して~
研究の位置づけ
算数科が中心となる研究ですが、その理論と実践は理科を含むすべての教科に適用可能です。本校では、特に理科と算数の連携を重視しながら、主体的な学習態度を育成することを目指しています。
研究背景¶
全国学力調査の課題¶
- 主体的に学習に取り組む態度 が全国平均を下回っている
- 「自分で計画を立てて勉強していますか」に対する肯定的回答が低い
- 児童が受動的な学習者になる傾向が見られる
課題への対応
児童が主体的に学習を選択・計画し、自分の学習を調整する力を育成することで、これらの課題を改善していく必要があります。
研究目標¶
各教科の授業において、3つの視点(見通し・選択肢・振り返り)を位置づけた授業実践を行い、自己調整する子を育成する。
重点指導科目¶
| 科目 | 役割 |
|---|---|
| 算数科 | 研究の中核。マイプラン型学習の主要な実践場所 |
| 理科 | 見通し・選択肢・振り返りの視点を応用した実践 |
| その他教科 | 研究成果の汎用化 |
研究仮説¶
見通しを持たせる手立て、選択肢を提示する手立て、振り返りの場を設定する手立てを講じれば、児童が主体的に学習方法を選択し、自己調整する力が育つ。
仮説の構造¶
めざす児童像¶
3つの児童像¶
1. 見通しを持つ児童
学習の目標を理解し、見通しを持っている子
- ゴールが何かを理解している
- 学習の道筋が分かっている
- 「今、どこを学んでいるか」を意識している
2. 自分で選択できる児童
自分に合った学び方を選択できる子
- 学習方法の選択肢から、自分に合ったものを選べる
- つまずいた時に別のやり方を試す
- 資料・友達・教師など、支援方法を選択できる
3. 振り返り、次につなげる児童
学び方を振り返り、次につなげる子
- 自分の学び方や成果を言語化できる
- チェックポイントで到達度を確認する
- 次の学習への作戦を立てられる
研究の3つの視点と実践¶
1. 見通し(単元全体の俯瞰)¶
定義
単元全体の学習の流れを児童に示し、「今どこを学んでいるのか」を意識させ、ゴールに向けた道筋を明確にする視点。
具体的な手立て
- 単元全体の学習の流れを掲示(フロー図・ロードマップ)
- 「今どこを学んでいるのか」を児童に意識させる掲示物
- マイプラン型学習で、目標と経路を明示する資料
理科での実践例
- 単元開始時に全体の学習計画を提示
- 各時間の位置づけを可視化
- 観察・実験の全体計画を児童と共有
2. 選択肢(学習方法の分化)¶
定義
児童が自分に合った学習方法を選択できるよう、複数の学び方を提示する視点。
提示できる選択肢の例
| 学習内容 | 選択肢の例 |
|---|---|
| 情報収集 | 例示カード / 資料参照 / ICT活用 |
| 困った時の支援 | ヒントカード / 友達に相談 / 教師の個別指導 |
| 実験方法 | 推奨方法 / 代替方法 / 自分で工夫 |
| 記録方法 | 図解 / 文章 / 表 / ICT記録 |
理科での実装
- 観察・実験の方法を複数提示
- 記録方法を児童が選択
- つまずき時のヒントカードを準備
- ICTと従来的手法の選択肢を提供
3. 振り返り(チェックポイント・CP)¶
定義
単元内にチェックポイント(到達確認)を位置付け、到達度を確認し、次の手立てを計画・修正する視点。
チェックポイント(CP)の流れ
実装方法
- 単元の途中に到達度チェック問題を位置付ける
- 学び方と成果を言語化させる場を設定
- 結果に基づいて学習方法を修正する支援
- ふり返りシートで「作戦づくり」を明確化
マイプラン型学習とは¶
定義
単元のゴールと学習の道筋を示した上で、児童が「今日は何をどこまで」「どの方法で学ぶか」を自分で決めて進める学び方。途中でつまずいたら、方法を選び直し、チェックポイントで確かめる。
マイプラン型学習の特徴¶
- 児童が主体的 に学習方法を決定
- 選択肢が複数 あり、自分に合ったものを選べる
- 途中での修正 が可能
- CP(到達確認) で進度と理解度を確認
- ふり返り で学び方を言語化
実施の流れ¶
研究の進め方¶
研究組織¶
構成
研究主任を中心に、3つのブロックで構成されています。
年間の研究サイクル¶
| 研究形式 | 実施頻度 | 内容 |
|---|---|---|
| 校内研究全体会 | 月1回 | 全教職員で研究の方向性を確認 |
| ブロック研究会 | 定期的 | 低・中・高学年で教材研究・実践協議 |
| 示範授業 | 適宜 | 研究の実践例を全員で参観・協議 |
| 事後研究会 | 示範授業後 | 授業の工夫と成果を協議 |
研究の流れ¶
年間スケジュール¶
5月
- 年間の見通し説明
- 研究の方向性確認
- ブロック別に研究テーマの詳細化
6月
- 理論研究(自己調整学習の理論)
- 講師招聘の検討
- 教材研究開始
7月
- 教材研究(各単元の教材特性分析)
- 選択肢・CP・ふり返りの手立て検討
- 実践用資料の作成
9月
- 中学年ブロック研究授業と事後研究会
- 示範授業の参観・協議
11月
- 高学年ブロック研究授業と事後研究会
- 理科の実践例を中心に
- 研究の成果を整理
12月
- 低学年ブロック研究授業と事後研究会
- 実践報告会の準備
- 1年間の研究をまとめる
2月
- 実践報告会
- 全校で研究成果を発表
- 来年度への改善点を確認
理科における研究の重点¶
なぜ理科なのか¶
理科と自己調整学習
理科は、観察・実験を通して問題解決を行う教科です。自己調整学習の「見通し→選択→振り返り」のサイクルが自然に組み込まれており、児童が主体的に学習方法を選択する機会が豊富です。
理科での3つの視点の実践¶
| 視点 | 理科での実践例 |
|---|---|
| 見通し | 単元の観察・実験の全体計画を提示し、各時間の位置づけを明確化 |
| 選択肢 | 観察方法・記録方法・検査方法の選択肢を提供 |
| 振り返り | 実験結果をもとにCP、次の実験計画を修正する機会を設定 |
高学年理科での重点単元¶
- 5年: もののとけ方(CP での計画修正)、電流と電磁石(自主的計画→実行→検証)
- 6年: 物の燃え方(実験計画の選択)、大地のつくり(多面的考察)、水溶液の性質(自己選択・修正)
期待される効果¶
児童への効果
- 主体的な学習態度の向上
- 自己調整力の育成
- 失敗を活かす力
- メタ認知能力の発達
教育の質の向上
- 個に応じた指導の充実
- 教師の支援の焦点化
- 授業改善の継続的サイクルの確立
研究担当: 那覇市立天久小学校 全教職員 研究主任: 理科専科: 中 龍馬